【完結】 甘い罠〜幼なじみは意地悪女~
「ねぇ・・・そんなに私のこと嫌い?」
駅のホームに降り、流れる人込みも気にせず立ち止まる二人の間には沈黙が流れていた。
な、なにそれ?
胸の鼓動は一気に高鳴り、息をするのも忘れるくらい動揺していた。
控え目に俺の顔を見つめる美沙の瞳は潤んでいて、いますぐここで抱きしめたいという衝動にかられた。
そんな瞳で、そんなかわいいこと言わんといてよ。
『私のこと嫌い?』
好きやで?
めっちゃ好きですけど?
「お、俺は」
あかん!今告白したら、母さんたちの思う壷や!
そう頭では思っていても、頭と口は別人格になっているようで、もう歯止めがきかない状態になっていた。
「俺は・・・美沙のこと・・・」
「あはははははっ・・・」
突然、目の前の美沙が腹を押さえて笑い出した姿を見て、何が起きたのかがわからなかった。
ポカーンと口を開けてる俺をを見て美沙は言い放った。
「あんた、こんな罠にひっかかってるのに、お母さんたちを罠にかけるなんて無理じゃない?」
騙された。
美沙の罠にまんまとひっかかった?
美沙に言われたことに対して、何も言い返すこともできずに黙り込んでいた。