生ものですから本日中にお召し上がりください

男はワゴンに乗っている鍋に目をとめると、側で立っていた召使いを突き飛ばし、今度は鍋の中を素手でかき回し始めた。


指や骨、腸の一部と脚の肉を煮込んでいる鍋をかきまわし、いろいろなモノが入っている鍋の中を見て………





涙を流した。




一心不乱にかき混ぜた後、手で中身を掬い上げるとそれを次々と食い始めた。



狂い始めた。



泣きながら食い、『うまい』という。



泣きながら自分の娘を喰らって、うまいと言う。





肉を噛み砕いて飲み込んで、うまいと言う。




血をたっぷり混ぜたスープやソースを舐めるように飲み込み……………







『愛してた』と言った。




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