生ものですから本日中にお召し上がりください

「お待ちしていました」
「お招きありがとうございます。玄関先に咲いているお花たち、とてもきれいですね」
「ええ、あれは妹の趣味でしてね」
「そうでしたか」
「ささ、どうぞこちらへ」


玄関先での挨拶もそこそこに、この夫妻を家に招き入れた。

仕込みの最中なのでそんなに長い時間キッチンを空けることができない。



「こちらで少々お待ちください。今飲み物をお持ちしますので」
「ありがとう」



やや年配の夫婦はお互いに白い服で揃えている。
婦人の被っている帽子はオーダーメイドだろう。

召使いが夫婦をリビングへと案内し、俺は足早にキッチンへ戻った。




「まあ、なんて素敵なお屋敷なんでしょう」
「噂には聞いていたけど、ここまでとはね」




召使いは恭しく頭を下げ、一言も発せずにその場を後にした。

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