生ものですから本日中にお召し上がりください

「どんなお料理が出るのかしらねあなた、楽しみね」
「そうだな。専務の話だとここでしか食べられないものみたいだからな」
「それは楽しみだわ」
「お、そうだそうだ。お前、土産物を忘れてるじゃないか。土産を渡しに行こう」
「ああ、そうね、私ったらすっかり忘れていたわ」

夫婦は紙袋から土産の品を出すと、さきほど召使いが出て行った扉のほうへ歩き、扉を開けた。



「大きいお屋敷だから何がなんなんだかわからないわね」
「いい匂いがするからきっとこっちだろう。行ってみよう」


二人は匂いにつられ、長い廊下をにおいを頼りに先へと歩いた。



「何をしていらっしゃるので?」



廊下を歩いてきた夫婦の前に召使いがヌルリと現れ、目を合わせずに話しかけた。



「い、いや、ね、このお土産をお渡ししようと」
「旦那様は今手が離せないところなので、それは私が」
「え、でも」







グギイィィィィぃぃぃ.......

バキバキバキ

ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ......ヤメデェェェェェェぇぇぇぇ......

ギュルルブシュシュシュシュ...


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