生ものですから本日中にお召し上がりください
「ああ、これはこれはびっくりさせてしまいましたね。不気味な声に聞こえましたよね、失敬失敬」
「……こちらこそ、その、びっくりしてしまいまして。あの、これがその……マシンですか」
ギェェェ……
ググググブチュビシュ…………
「ほら、こうなるんです」
マシンの蓋を上下に上げ下げすると、人の悲鳴のように聞こえる。
「ああ、そうでしたか、それは安心しました」
「それでは、今新しい食前酒をお持ちしますのでお部屋へ」
「いえいえ、新しいのなんてそんな、それでけっこうですよ」
「とんでもありません。お客さまなんですから」
夫婦の見ている前で酒を捨てた妹の小夜子は召使いに合図をした。
「お気遣いありがとうございました」
土産の箱を持ち上げ、夫婦にお礼を言う。
夫婦が見えなくなると、土産の箱をごみ箱に投げ捨てた。
こんなもん、いらねえよ。
マシンの下には死にかけの女が一人。
半開きの目によだれ。
蓋を開けたときに出た「音」
締め上げられた首から出される最後の悲鳴。
あの夫婦はそんなこととも知らず、簡単にだまされた。
「小夜子、あいつらを見張っとけ。計画が台無しだ」
「ええ、そうします」