私と君の確かな出来事
誰もいなくなったので普通の声量で話しかけると、ようやく反応してくれた一流。


かと思いきや、さっきまで大学生達がバスケをしていたゴール付近まで連れて行かれる。


「一流アンタ、本当にどうしたの?さっきから様子変だよ?」


こめかみを伝う汗をハンカチで拭いながら尋ねたがまたもや無視され、一流は地面に転がっていたバスケットボールを拾い上げた。


「ちょっ、ちょっと一流、あんまり外では物持たないって――――……」


それから先は……続かなかった。


一流が構えを取り、シュッと放ったボールは、ゴール目掛けてキレイな弧を描く。
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