私と君の確かな出来事
それからの事は、よく覚えていない。


気がついたら私と一流は、我孫子さんと一緒に例の校舎裏まで来ていた。


「………さて、HR始まるまで時間が無いから、手短に済ますわね」


風に揺れる緑色の葉っぱがたくさん繁った木を見上げていた我孫子さんが、クルッとこちらを振り返る。


一方の私は、意識をどこかに置いてきてしまったかの様に我孫子さんの目を見つめ返していた。


「あのね、堺さん……」


「………見えてるの?」


「えっ?」


「我孫子さん……一流の姿、見えてるの?」


ソッと、左肩に何かが触れる感触がする。
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