私と君の確かな出来事
前を真っ直ぐ向きながら話す一流に、複雑な感情を抱いた。


何だか一流が記憶を取り戻すのが、嫌だと感じる私がいる……


部活の事思い出した時は純粋に嬉しかったのに、一流が生前の記憶を回復すればする程さみしくなる。


それはきっと、記憶が無い一流を独占したいと思っているからだ。


「ダメダメ…私何考えてるの」


一流は日曜日に言っていた……『例え嫌な事でも、出来る限り思い出したい』と。


それを私が嫌だと思う権利がどこにあるの?本人が記憶回復を願っているのに。


「蕾どうしたの?いきなり黙っちゃって」


「へっ!?」
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