私と君の確かな出来事
諒お兄ちゃんに『暗くならない内に帰る』って言っちゃったし、そろそろ帰らなきゃ。


だけどもう少しだけ、近くを探そう。


「痛……」


ベンチから立ち上がって、一流捜索を再開する為、鈍い痛みを覚えながらも1歩踏み出した。



「蕾………?」



「えっ……?」



不意に耳に届いた、自分の名前。


でもこの声は、さっきCDショップで会った梓灯の声じゃない。


もちろん我孫子さんの声でもなくって、もっと低いけど温かみのある声。


「なんでこんな所に……何やってんの?」


今度私の事を呼んだのは―――…一流だった。
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