私と君の確かな出来事
バッと両手で口を塞ぐが、もう遅い。


梓灯はベテラン刑事が容疑者を取り調べするかの様な、凄まじい力の入った視線を私にぶつけている。


数秒間重苦しい沈黙が流れた後、降参した私は両手を離してため息をついた。


しょうがない…こうなったら、もうきちんと話さなきゃ………


「梓灯ってさ、郁史の事好きだよね?しかも1年生の時から」


私がずっと心に閉まっていた事実を静かに語ると、梓灯の目が真ん丸に見開かれた。


どうやらかなりビックリしたらしく、瞬く間に頬が真っ赤になってゆく。


「な、なななな、なんで………!!」
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