私と君の確かな出来事
急いで音楽が聞こえる、小さいお城型の遊具のトンネル部分を覗き込む。


「えっ……一、流……?」


そこには近くにある街灯に照らされ、目を見開いてこちらを見つめる蕾の姿があった。


「やっと見つけた………!御両親達が蕾が帰って来ないって大騒ぎしてんだぞ?連絡も無しに一体何してたんだよ!?」


蕾に何かあったらどうしようという不安が、見つけた事によって安堵に変わってゆく。


と同時にもちろん怒りも現れて、半ば責める様な口調になってしまった。


「…………」


目の前の蕾は体育座りを崩さないまま、無言でオレから目を逸らす。
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