私と君の確かな出来事
そこでオレは気がついた。


冷静になってよく見てみると、蕾の目は真っ赤で……小さく鼻もすすっている。


「蕾…?もしかして、泣いてんの?」


ゆっくりとオレもトンネル内に入って近づくと、蕾はビクッ!と肩を揺らした。


やっぱり………でもどうして?


ここの住人で高校生の蕾が、迷子になって…とかは考えられないし、不審者に襲われたとかだったら、幽霊とはいえ男のオレを怖がるハズ。


「蕾……なんで泣いてるの?何かあったの?」


今度はなるべく優しく問いかけてみるも、相変わらず無言の蕾。


「とりあえず家に帰ろう」
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