私と君の確かな出来事
ワンワンと泣きじゃくりながらも、決してオレの腕を離そうとはしない蕾の切実な叫びに、胸がギュウッと締め付けられた。


全然知らなかった……蕾がオレを好きになっていたなんて。


ずっと一緒にいたのに、オレは蕾の何を見てきたんだろう。何を聞いてきたんだろう。


ハッキリ言って、蕾の想いは言葉じゃ言い表せられない程、とてつもなく嬉しい。


だけど……オレには“Yes”と言っていい権利は無い。


生身の体を持たない、無力なオレには………


「――ごめん蕾。蕾の気持ちはとっても嬉しいよ。でも――――…受け入れる事は出来ない」
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