私と君の確かな出来事
自分の声帯が震えて発せられる声が、いつもより低く耳に届いた。


自分だけのものだった一流との空間に、霊感少女の我孫子さんならともかく幽霊否定派の梓灯と霊感0の郁史までもが介入する事に憤りを隠せない。


「蕾アンタ何考えてるの!?好きな人が出来たとは分かっていたけど、幽霊を好きになっちゃうって常識じゃああり得ない事よ!?」


プスプス燻る私のイラ立ちに気づいていないのか、梓灯が強い口調で言い放った。


やっぱり梓灯も、そう言うのか……恋愛の相手が死者だなんて、変だって。


確かに私も、梓灯の立場だったらそう言っていたと思う。
< 270 / 325 >

この作品をシェア

pagetop