私と君の確かな出来事
そりゃそうだろう。私が一方的に一流を好きだと思っていただろうに、両想いだなんて頭がついていけないのが普通だ。


「両想いってマジかよ……でも一流君、成仏するって言ってるんだよな……?」


先に冷静さを取り戻した郁史が、ポツリと私に問いかけた。


私は黙って頷く。


「だったら………」


「ちょっと鍋内さん、私にも堺さんと話させて」


「えっ……」


私が頷くと郁史と同じ様に我に返った梓灯が何か言いかけたが、我孫子さんがそれを遮った。


ポケッとする梓灯の前で、正座したまま私に近づく我孫子さん。


「堺さん」
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