私と君の確かな出来事
お父さんが耳の痛みに悶えている内にさっさと玄関を出ると、今日もよく晴れ渡っていた。


「う~~ん、いい天気ーー!ねぇ一流、一流はどこ行きたいっ?」


「オレは別にどこでもいいよ。今日は蕾の行きたい所、行こう」


アイロンでクルクルになった普段あんまり巻かないセミロングの黒髪を翻しながら一流に尋ねると、フッと穏やかな笑顔が私を待っていた。


今日、私と一流はデートをする。


………最初で、最後のデートを。


『思い出?思い出って……』


『デートしたいの、一流と』


『デート!?だけどオレ幽霊なんだぞっ!?』
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