私と君の確かな出来事
ジワ…ッと目頭に滲んだ涙を指で拭っていると、砂浜に足をとられて体が前に傾く。


「ワワワワワ……!!」


どうしよう!目の前は海なのに、このままだと転んじゃう……!!


「蕾っ!」


びしょ濡れになる覚悟で目をギュッと瞑ると、横から腕を引っ張られた。


前に傾いていた体は勢い良く左に反れ、何か固いものに当たる。


「たく…砂浜をミュールなんかで歩くからだよ」


「い、一流!?」


何?と思ってゆっくりと目を開けてみると、私は一流に抱き止められていた。


えっ!?まさか転びそうだったの、一流が助けてくれたの!?
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