私と君の確かな出来事
――いや、こうやって何でもかんでも一流に結びつけちゃうクセ、いい加減直さないとダメだ。


自分からスッと思い出したならともかく、こういう時は胸がギュッと苦しくなっちゃうから。


「帰ろう……」


気づかぬ内に俯きがちになっていた顔を上げ、また1歩踏み出した。


私は、前を――――…




「蕾」




向…く…んだ……


「えっ……?」


不意に名前を呼ばれ、ゆっくりと後ろを振り向く。


聞き覚えのある声の様な気がするけど、そんなワケが無い。


だって頭に浮かんだ該当人物は、この世にいるハズが無い人だから。
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