私と君の確かな出来事
それなのに、心臓の音がドクンドクンと喉元で脈打っているかの様に鳴っている。


夏に比べると少しだけ伸びた髪の毛が風で舞い上がり、視界が遮られる。


その髪の毛が重力に逆らえなくなった時、やっと目の前に立っている人物の姿を全て映す事が出来た。




「久し振り、蕾」



「……一、流…………?」




私の目の前にいたのは、1ヶ月間ずっと見続けて来た、あの優しい微笑みを宿した一流だった。


格好は秋服仕立てのブラックのジャケットにロング丈のジーンズに変わっているけれど、それ以外は2ヶ月前と全然変わっていない。
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