私と君の確かな出来事
引く所かどんどんどんどん心の中を支配して行っていて、今なら怒りパワーでヤカンの水を沸騰させられそうな程ムカついている。


だけどもう罵倒の言葉が出てこようとしないのは、怒り以上に嬉しさが存在していたから。


「……クッ……」


ジワジワと滲み始めた涙を一生懸命擦っていると、ポフン…と抱きしめられた。


「本当にごめん蕾………でもオレもまさか自分が生きているなんて、夢にも思わなかったから……」


ああ…温かい。


肉体を取り戻し再び“人間”となった一流の体はきちんと体温があって、毛布みたいに私を包み込んでくれる。
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