私と君の確かな出来事
そうだ………彼の姿も声も、私にしか分からないんだ……よね?


つまり彼はどんだけ大きな声を出してもその想いを他人に伝えられないし、振り向いてさえも貰えない。


完全なる“孤独”の世界にいるんだ。


誰にも気づいて貰えないって――――…どれだけの深い悲しみがあるのだろうか。


「じゃあ……」


「待って!」


「えっ?」


私はクルリと背を向けて立ち去ろうとしていた幽霊を、咄嗟に引き止めていた。


幽霊がポヤッとした表情で振り返る。


「話……聞くから。梓灯、郁史、私ちょっと席外すね」


「「へっ!?」」
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