B級彼女とS級彼氏
第2章 なんだか最近おかしいんです
第1話~痛みの元凶~
「芳野さん。俺、床掃除やりますね」
「あ、うん。お願い」
昼勤務を終え、少し休憩した後深夜勤務に入った。
深夜勤務のシフトに入ると、比較的客が少ない時を狙って清掃をしなければならないのだが、深夜勤務で度々一緒になる大学生の深町君はいつも自ら率先して床の清掃をしてくれる。交代すると私が言う度に、自分はレジが苦手だなどとニカッと白い歯を見せながら頭を掻く。そんな事を言っていたらコンビニの仕事なんて出来やしないのに、自嘲ともとれる言動をあえてする事で、年上の私に床掃除などさせまいと彼なりに気を使って言ってくれているのだろう。きっとそれが深町君の優しさなのだと、私は彼の好意を素直に受け入れる事にした。
時々入店する客のレジをしながらも、私はレジ周りやフライヤー付近の拭き掃除に精を出す。こびりついた汚れを取ろうと格闘していると、次第に目の焦点が合わなくなっていった。
私の脳が、眠っていた過去の記憶を再び呼び起こした――。
「あ、うん。お願い」
昼勤務を終え、少し休憩した後深夜勤務に入った。
深夜勤務のシフトに入ると、比較的客が少ない時を狙って清掃をしなければならないのだが、深夜勤務で度々一緒になる大学生の深町君はいつも自ら率先して床の清掃をしてくれる。交代すると私が言う度に、自分はレジが苦手だなどとニカッと白い歯を見せながら頭を掻く。そんな事を言っていたらコンビニの仕事なんて出来やしないのに、自嘲ともとれる言動をあえてする事で、年上の私に床掃除などさせまいと彼なりに気を使って言ってくれているのだろう。きっとそれが深町君の優しさなのだと、私は彼の好意を素直に受け入れる事にした。
時々入店する客のレジをしながらも、私はレジ周りやフライヤー付近の拭き掃除に精を出す。こびりついた汚れを取ろうと格闘していると、次第に目の焦点が合わなくなっていった。
私の脳が、眠っていた過去の記憶を再び呼び起こした――。