B級彼女とS級彼氏
第4話~密室~
私は今、狭い箱の中で小田桐と二人っきりになっている。
さっきまでは暗闇の中を歩いていたせいか、急に照明のついた所に来ると妙に小っ恥ずかしくなってしまう。
気の利いた音楽も無ければ、急にラブシーンをおっぱじめて気まずくなってしまうようなテレビも無い。ただ、シーンと言う音が聞こえてきそうなほどに静まり返った一室で、二人とも互いに目を合わそうとせず、ひたすらそっぽを向いていた。
なんとなく、無言になってしまう気持ちがわかるのは、きっと私の手首が未だに小田桐の大きな手に拘束されているからだろう。密室だから逃げる事も出来ないのに、小田桐はまだ信じられないのか手首を解放しようとしない。
――そして、何故だか私も無理に振り解こうとはしなかった。