そっと鍵をかけて。


“妹”と言って散々良くしてくれた彼を放って帰るわけにもいかず、家まで送れば吐きまくる。(なぜトイレで吐いてくれなかったのか…)

ベットに寝かせてソレを片づけ、水を渡して帰る直前。

最後の最後に事件が起こった。


名前を呼ばれて振り向けば、次の瞬間には視界がぐるりと回って。

至近距離に先輩の頭。

押し倒された事に気づき、驚いて押しのけようと身をよじった瞬間、

倒れこむように抱きついてきた彼が泣いていることに気づいた。


「…仕方ないですねぇ」


そう言って抱きしめて、キスを受け入れた。


荒々しい行為とは裏腹に、優しいキスと怯えたような目が印象的だった。

どうしたの?とも、大丈夫?とも聞かない代わりに、

ここに居るよと抱きしめた。








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