そっと鍵をかけて。



「さよなら、か。」


彼は今日、12時の便で立つそうだ。

見送りには行かないから、きっともう会う事はないだろう。

そして昨夜の答えを聞く事も、もうきっとない。


つい感傷的になる頭を切り替えようと、ポーチを探る。

ふと指に当たった簡易なプラスチックのケースを持ち上げて

ふと1年前を思い出した。


20歳の誕生日の数日後、思い出したように投げてよこしたソレ。








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