隣の席の被り物系男子。



みんな気付いてるんだ、きっと。

朝、クラスに入ってからすぐに気付いたんだ、きっと。


あたしが…
あたしが斎藤に挨拶しないことに。


初めて挨拶をした日からかかしたことのない斎藤への"おはよう"

あの日から初めて斎藤へ挨拶をしなかった。



「波瑠が…だって…。」



言いたいけど隣の席の斎藤をチラチラみながら困ったように眉を下げる麗。

ほら…
麗も気付いてる。

だけど、斎藤が隣の席にいるのに言えるわけがないよね。



「ん?なに?」



わかってるくせに。

気付いてるくせに。

あたしは麗に言わせようとしてるんだ。

自分から言うなんてあたしには出来ないから。


麗から始まったから麗から終わりにしよう。


意地悪でごめんね。

麗を利用してごめんね。

あたし…。

あたしがヘタレだなんて、こんなに臆病者だって、初めて知ったんだ。




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