大家様は神様か!

羽織ったパーカーのフードを目深に被り、深呼吸。


「ろーく…」


静かに静かに窓を開け、ベランダに出た。


「ごーお…」


うちがあるのは二階だ。

いざ出てみると意外に高い。


「よーん…」


大丈夫、死にゃしないはずだ。

体育万年5の運動神経を、今見せないでどうする!


「さーん…」


いよいよ決心して、私は二階のベランダから飛び降りた。



ふわり、体が浮く。



……やばい!!

足から着地するはずが、このままじゃ体を殴打する。

おい!体育5はどうなってんだ!!


ぶつかる、そう思った。

地面がぐんぐん近くなって、ほんの数秒が永遠にも感じられて。


……二階からでも打ち所が悪かったら死ぬよね………。


上の方から「にーいいーちはいざんねーんッ」という声と、バゴッという扉の蹴破られる音がした。

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