大家様は神様か!
熱い手をそっと取ると、大家さんの体がぴくりと反応した。
もう意味を成していない額のシートをはぎ、冷蔵庫で冷やしておいた次の奴を貼る。
「…ん……?」
「あ、おはようございます。起きれそうなら起きてもらってもいいですか?」
薄く開いたまぶた。
彼の狭い視界に自分の顔を映すため、前屈みになった。
汗でいくらか落ち着いた、いつもは無造作にハネまくってる黒髪をわしゃわしゃと掻いて、大家さんが上半身を起こす。
「ごめ…今何時…?」
「12時前くらいですかね」
「昼?」
「いえ、夜です」
私が即答すると、大家さんはやや困ったように眉を下げる。
頬はまだ赤く、熱は下がっていないだろう。
「……俺は寝たら治るから、華火はお家に帰んなさい」