大家様は神様か!

「うん…結構ね、隠し味主張してきてるよ」

「やっぱり…入れすぎちゃったんですよね」


うっかり手元が狂って、ほんのり香らせる程度にしたかったのに、目立ってしまったのだ。


「で、何入れたの?」


お粥の皿にスプーンをさしたまま、大家さんが真剣な目で私を見つめてくる。

冷めちゃう前に食べてほしかったんだけど、大家さんは隠し味が気になってしょうがないようだ。


「油ですよ、油。オリーブオイル」

「え、オリーブオイル…?」


「――――っぽいやつです」


「なに?!オリーブオイルっぽいやつってそんなの家にあった?!」


なに、と言われてもわからないのだからしょうがない。

オリーブオイルは体に良いから毎日飲んでいる、というジロー〇モさんの話をテレビで見た。

だから、病人の大家さんに相応しいと思った。

でも……。

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