大家様は神様か!

困ったような、大家さんの笑い声。

独り言?んなわきゃない。


そのあとに続けて、女の人の声が聞こえた。


立ち聞きなんて趣味が悪い、と思いつつも、つい聞き耳を立ててしまう。

大家さんが寝室にしている部屋には窓があって、それはアパートの通路に面していた。

空気の入れ替えをするため私がさっき開けていた窓。

カーテンの引かれた向こうから、大家さんと女の人の話し声。


「……で、食べたのね?」


問いただすように、女の人が大家さんに言った。


「うん。だって、折角作ってくれたんだし」


さっきのお粥の事を言ってるんだな、とすぐにわかる。

女の人が少し怒っているのは、大家さんが他の人の手料理を食べたから、とかだろうか。

< 112 / 144 >

この作品をシェア

pagetop