大家様は神様か!
困ったような、大家さんの笑い声。
独り言?んなわきゃない。
そのあとに続けて、女の人の声が聞こえた。
立ち聞きなんて趣味が悪い、と思いつつも、つい聞き耳を立ててしまう。
大家さんが寝室にしている部屋には窓があって、それはアパートの通路に面していた。
空気の入れ替えをするため私がさっき開けていた窓。
カーテンの引かれた向こうから、大家さんと女の人の話し声。
「……で、食べたのね?」
問いただすように、女の人が大家さんに言った。
「うん。だって、折角作ってくれたんだし」
さっきのお粥の事を言ってるんだな、とすぐにわかる。
女の人が少し怒っているのは、大家さんが他の人の手料理を食べたから、とかだろうか。