大家様は神様か!

二人の関係はわからないけど、こんな深夜に家に上がれるんだ。

答えはもう決まってる。


胃の下の方がきゅっ、と縮まったように痛くなって、私は思わずお腹を押さえた。


「バカじゃないの?その作ったって子もだけど、アンタも相当のバカね」

「ひっどいなあ、美和子」


美和子。

呼び捨てで、呼んだ。

………なんだ、彼女いたんじゃん、とむしろ納得した。

どうりで、取材とは言え女の扱いに慣れてるわけだ、車の助手席にエスコートできるわけだ。


帰ろう。

多分今入っていっても邪魔なだけだし、自転車の鍵は明日返せばいい。

気まずかったら郵便受けに入れればいい。


そう思って隣に体を向けた時、信じられないような言葉が耳に飛び込んできた。

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