大家様は神様か!
「あー…華火はたまにこうやって、鬱モード入るもんやから、敵わんわぁ」
小さい子をなだめるみたいに頭をポンポンされて、止めようとした涙が止まらなくなった。
「むっちゃん…不意打ちで優しくするとかずるい……」
「惚れたか?」
にっ、と歯並びの良い白い歯を見せて、むっちゃんが笑う。
一点の曇りもない笑顔につられて、私も不恰好な笑みを作った。
「………惚れるよ、ほんと」
観覧車で見た、大家さんの強い眼差しが、今もまぶたの裏に焼き付いている。
「ほんと………なんなの………」
机に突っ伏して顔を隠すと、「華火はかわええなあ」と、わかってるのかわかってないのかわからないような事を言って、
むっちゃんはまた頭をポンポンしてくれた。