大家様は神様か!

チャイムが鳴って、先生が教室に入ってきた。


「……睦月ちゃんごめん、そこ私の席」

「おー、すまんすまん」

「伊東、5秒以内に席につけ」


先生のむっちゃんに対する態度がちょっと、いやかなり辛辣になった事以外、いつも通りの朝がくる。


鞄の中には大家さん家の合鍵が入っていた。

今日の帰り、彼の家に寄って返したい。

でも顔を合わせるのが怖い。


1日脳みその中を回り続けた悩みは、答えが出るわけでもなく、あっという間に放課後になった。


「華火、帰るでー」


むっちゃんがリュックを半分肩にかけて、入り口で私に声をかける。

私達は部活に入っていないので、もう帰宅の時間だ。

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