大家様は神様か!
「……とりあえず、見てみますか?事情が事情ですし、大家さんに頼んでみては…」
経緯を伝えた不動産屋のお兄さんは、哀れむような視線を私に向けた。
どうか大家さんが優しい人でありますように!
ありったけの願いを込め、私は大きく頷いた。
▼△▼△▼
「こちらがアパート・オークラです」
お兄さんに案内されたのは、駅から歩いて30分程の場所にある寂れた住宅街だった。
眼前に建つ、ボロボロのアパート。
築ウン十年は経っているような外観。
確かに格安な理由はわかる。
「今回貸しに出ているのは…ああ、大家さんのお隣のお部屋がありますね。ちょっとピンポンしてみましょう」
慣れた手つきでお兄さんが書類を確認し、スタスタと歩いてアパートの1階に入っていった。
私はその後ろを慌てて追いかける。