大家様は神様か!
ここが正念場だ。
大家さんに、いかに私が大変かどうかを伝えられるかで、今後屋根のある場所で寝泊まりできるかが決まる。
どうする?
演説?泣き落とし?脅してみる?
お兄さんが玄関チャイムを押し、少しノイズの混じった音が鳴った。
頭の中で、モンスターに遭遇した時の音が流れ始める。
小学校の学芸会で立派に馬役を演じた時の事を思い出せ、私!
ドアの向こう、部屋の中から「ふぁーい」という気の抜けた声が聞こえた。
ドアノブが下がり、がチャリと音がなる。
大家さん が 現れた !!
どうする ?
たたかう
にげる
どうぐ
→なきおとす
瞬きを我慢しておいたお陰で、良い感じに目に涙が溜まっている。
「…何なんすか、徹夜明けで辛いんすけど」
「すみません、どうしても今日決めたいって子がいて…」
今だ!
と思い、思いきり顔をあげた。
「初めまして、私、片岡華……」
ばちん、と目が合う。