大家様は神様か!

ここが正念場だ。

大家さんに、いかに私が大変かどうかを伝えられるかで、今後屋根のある場所で寝泊まりできるかが決まる。

どうする?
演説?泣き落とし?脅してみる?

お兄さんが玄関チャイムを押し、少しノイズの混じった音が鳴った。

頭の中で、モンスターに遭遇した時の音が流れ始める。

小学校の学芸会で立派に馬役を演じた時の事を思い出せ、私!


ドアの向こう、部屋の中から「ふぁーい」という気の抜けた声が聞こえた。

ドアノブが下がり、がチャリと音がなる。


 大家さん が 現れた !!

  どうする ?
   たたかう
   にげる
   どうぐ
   →なきおとす

瞬きを我慢しておいたお陰で、良い感じに目に涙が溜まっている。


「…何なんすか、徹夜明けで辛いんすけど」

「すみません、どうしても今日決めたいって子がいて…」


今だ!
と思い、思いきり顔をあげた。


「初めまして、私、片岡華……」


ばちん、と目が合う。

< 24 / 144 >

この作品をシェア

pagetop