大家様は神様か!
灰色のスウェットに身を包んだ、すらりとした男の人。
眠たげな目は徹夜明けという言葉通り、微かに充血している。
寝癖なのか元からなのか跳ねた髪の毛に、欠伸を我慢しているような口許。
………仄かに香る、煙草の匂い。
今にもこぼれ落ちそうだった涙は目の奥に引っ込み、代わりに口があいた。
私がようやく見つけた激安アパートの大家さんは、
怖い人達から逃げる私を受け止めてくれた
ふわふわイケメンさんでした。
「…あのときの……」
私を覚えている様子の、大家さん。
「えーっと、その、色々ありまして」
何だかバツが悪い、私。
「何々?もしかして知り合い?」
なら話が早い、と嬉しそうな不動産屋さん。
「……………そういう、わけです」
―――――――大家さん初めまして。