大家様は神様か!
「ぐ、ま、まあそういう事なんですけど」
人が必死こいてオブラートに包んだ要求を、どうして的確に突いてしまうのか。
直感した。
多分この人はKYだ。
「ふ―――ん。じゃあどうしてほしいの、華火ちゃん」
物が散乱した部屋にぽつんと置かれたちゃぶ台。
それに頬杖をつき、口角をにやにやと上げた大家さんが瞳を私に向ける。
その質問に、いよいよ誤魔化せないと悟り、私は俯きながら呟いた。
「……敷金なるものをですね、ご勘弁願いたく……」
「敷金なくすだけでいーのー?」
言葉に含みを持たせ、大家さんが更に楽しそうに言った。
ちらりと覗き見たら、愉快気に細めた目と視線がぶつかる。
こいつ、Sだ。