大家様は神様か!
「うるさい」
軽く頭をはたかれて、私ははたと口をつぐんだ。
大家さんの機嫌を損ねた瞬間、追い出されるかも知れないのか。
「じゃあ、契約ということで……」
不動産屋さんがいそいそと書類を取り出したその時、誰かの携帯が鳴った。
「すみません、僕です。ちょっと失礼します」
お兄さんに電話がかかってきたみたいだ。
通話ボタンを押し、一旦部屋の外に出る。
散らかったリビングに、私と大家さん二人が取り残された。
「…………………」
「…………………」
沈黙の気まずさを紛らわす為に、もう一口お茶を飲む。
私は何となく居心地が悪くてもぞもぞしているのに、対する大家さんは充血した目をこすり欠伸を繰り返していた。