大家様は神様か!

「大家さんが、作家先生かあ…」


火にかけたお湯が沸くまでの間に、ついさっきの事を思い出す。


―――――――
――――
――


「え、作家?」

「そー。これでもボチボチ食い繋げるくらいには売れてるよ」


契約が決まり、不動産屋さんが帰ったあと、私は大家さんに詳しい話を聞いていた。

どう見ても上下900円くらいのスウェット着たのが、作家?


「ちなみに、ジャンルは…」

「バリバリの純愛モノ」


あぐらをかいた大家さんと、純愛のイメージがどう頑張っても結び付かない。

たまたま手元にあった本を見ると、確かに恋愛系だ。

……本当なのだ。


「で、体で払えっていうのは…」

「ああ、うん、それなんだけどね」


色白の肌に柔らかい微笑みを浮かべて、大家が部屋を見回した。


「まず、お掃除を頼もうかな」

< 39 / 144 >

この作品をシェア

pagetop