大家様は神様か!

▼△▼△▼


「大家さんー、お待たせ致しました!」


窓を開けて煙草を吸っている大家さんが、台所から出てきた私の方を向くため顔を上げた。

目はまだ疲れたようにしょぼしょぼと瞬きを繰り返している。

徹夜明けと言っていたから、きっと〆切か何かに追われていたんだろう。

よく知らないけどハードそうな仕事だ。


「ありがとう。にしても、やけに時間かかったね」

「慣れない場所に手間取っちゃって」


淹れ方がわからず悩んでいたなんて、口が裂けても言えない。


「ささ、熱いうちにどうぞ」


淹れたてほやほやの特製紅茶を、大家さんの前に置いた。

良い茶葉を使っている筈だから、美味しくない訳がない。


「では、頂きます」


煙草を灰皿に押し付けた大家さんが、ティーカップを手に取った。


………こうして見ると、この人は意外にイケメンなのだ。

くたびれたスウェットじゃなければ、紅茶を飲む姿も様になったと思うのになあ。


「……」


何だか残念な気持ちで大家さんを見ていると、ごくりと喉が上下して、紅茶が飲み込まれるのがわかった。


「…………む!!」


次の瞬間、大家さんの目が思いきり見開かれる!!

< 43 / 144 >

この作品をシェア

pagetop