大家様は神様か!
2.代償はショッピング
その来客は、日曜の昼下がりにやって来た。
アパート・オークラでの生活が始まり、1週間近くたつ。
学校の先生に事情を説明し、教科書などの勉強道具は予備を貸してもらった。
警察を呼ぶかと聞かれたが、それには首を振っておいた。
どうせ見つかったところで、借金は減らないのだ。
本人が返すと言っているのだから、放っとけば帰ってくる。
昔から、運だけは良い父親なのだから。
「あ、はいはーい」
今にも壊れそうなピンポンが鳴ったので、うちわを持ったまま玄関へ向かう。
クーラーなんてものを使っては電気代が馬鹿にならないので、節約だ。
「あれま、これまた珍しい」
「やほー。死んでない?」
蝉の鳴き声がうるさい外には、灰色スウェットではない大家さんがいた。