大家様は神様か!

大家さんの視線に耐え、私も負けじと見返す。

これしか持ってないのならしょうがない、と大家さんが折れ、麦茶を飲み干した。

やがて立ち上がり、玄関口に向かって歩き出す。


「じゃ、行こうか」

「待ってください、私何も聞いてません」

「へーきへーき。そもそも君に拒否権なんてないんだから、聞いても聞かなくても変わんないって」


いつもの健康サンダルじゃない、普通のスニーカーを履く大家さん。

私はその背後に立つ。


「……ヘンなとこはやめてくださいね」

「安心して、女子高生と風俗に行く趣味はないから」

「セクハラですよ」

「ごめんなさい嘘です」


ドアを開け外に出ると、夏の熱気が一気に私を包んだ。

覗き見える空は青く澄んでいて、まさに夏真っ盛りという感じだ。

< 50 / 144 >

この作品をシェア

pagetop