大家様は神様か!
「で、今日はどんなお洋服を…」
というか、大家さんは何度もこの店に来ているんだよね。
店員さんと顔見知りとか、もう常連じゃん。
男一人で入るような所じゃないし、やっぱり彼女と……。
「ああ、うん。この子に似合う服をお願いしたいな」
ぐい、と肩を抱き寄せられ、黒いもやもやが一気に散らばった。
何だかさっきから、もやもやができてばかりな気がする。
「えーと……い、妹さんですか?」
オサレな店にただ一人制服でやって来た客に、店員のお姉さんは困ったように言った。
「あ、いや、その……」
「彼女です」
なにかうまい言い訳はないかと言葉を濁すも、大家さんは何の躊躇いもなく言い放つ。
店員さんの目は驚愕に見開かれ、その後すぐに「何言ってんのコイツ」という風に細められ、またすぐに営業スマイルになった。
軽蔑混じりの視線になったのはほんの一瞬。
さすがはプロなだけある。