大家様は神様か!
お父さんの指示通り、非常階段からアパートの二階にあがった。
変な人とかいないのを確認して、そっと家に入った所まではいい。
そこから先だ。
「お父さーん…?」
小さな声で父を呼んでも、返事はなく。
不審に思いお父さんの書斎に入って、私は絶句した。
………荷物が全然ないじゃないか。
お父さんが愛用していた大きめのスポーツバッグも、いつも使っていたパソコンも、奮発したと言っていた時計も、何も。
およそ父が普段使っていたようなものが何もなかったのだ。