大家様は神様か!

お父さんの指示通り、非常階段からアパートの二階にあがった。

変な人とかいないのを確認して、そっと家に入った所まではいい。

そこから先だ。


「お父さーん…?」


小さな声で父を呼んでも、返事はなく。

不審に思いお父さんの書斎に入って、私は絶句した。


………荷物が全然ないじゃないか。


お父さんが愛用していた大きめのスポーツバッグも、いつも使っていたパソコンも、奮発したと言っていた時計も、何も。

およそ父が普段使っていたようなものが何もなかったのだ。

< 6 / 144 >

この作品をシェア

pagetop