大家様は神様か!

迷うような素振りも見せず、大家さんはアクセサリーショップに入っていった。

やっぱり高そうな店で、今度こそ買ってもらう訳にはいかないと思ったのだけど……。


「華火、誕生日いつ?」

「え……9月13日、です」

「9月か、じゃあ……」


私が断ろうとする前に、大家さんはいそいそとアクセを選び始めた。

何となく言うタイミングを失い、手持ちぶさたになる。

真剣にショーケースを見ている大家さんを背に、何気なく置かれている商品の値札を裏返した。


「じっ、じゅうごまん?!」


何度数えても、0が4つある。

駄目だ、こんな高いものを、会って1週間やそこらの他人に買わせるなんて。


「あの、大家さ、…ゆ」

「これなんてどう?」

「へ?」


振り向き様に箱入りのネックレスを掲げられ、言葉を失う。

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