大家様は神様か!
紺色の入ったネックレスはシンプルなデザインで、銀の台座に小さな宝石がはめられていた。
「直接見ても?」
「勿論どうぞ」
店員さんに快い了承をもらい、大家さんは箱の中からネックレスを取り出した。
店内の照明に反射して、モチーフが美しく輝く。
細い銀の鎖によく合う、青色の宝石――…。
思わず見とれてしまうと、大家さんは少し得意気に説明してくれた。
「アクアマリンだよ。9月の誕生石」
「誕生石……よく知ってますね」
「まあね、小説のいいネタになるから」
そう言えば初め掃除をしたとき、『花言葉全集』とかがあった気がする。
「誕生石にも花言葉みたいなのがあってさ、例えばアクアマリンだと……」
大家さんが一歩私に近付いて、急に体感温度が上がった。
壊れ物でも扱うかのように、そっと彼の手が首の後ろに回される。