大家様は神様か!

「ひぃッッ」

突如、扉を叩く激しい音がした。

築35年の古いアパートのドアが、容赦なく叩かれている。

ドンドン、と続く音に、足がすくんで動けない。


「おいおい片岡さんよォー。いるのはわかってんだからさ、さっさと800万耳揃えて返してくださいよー」


薄い扉の向こう側から、明らかにカタギじゃないドスの効いた声が聞こえてくる。

やばい。膝が震えて今にも崩れそうだ。


「かーたおーかさぁーん。シラをきるのはやめてくださいってェー。あんまり往生際が悪かったら、アンタんとこの娘拉致って売り飛ばすぞゴルァ!!」


恐ろしすぎる怒鳴り声で、頭の中が一気に白くなった。

そのあと、急速に冷静になっていく。

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