大家様は神様か!
間髪入れずに返され、私はまた溜め息をついた。
「あ、そうだむっちゃん、本とか読む?」
飲み終えたいちごミルクのパックを潰すむっちゃんは、首をひねる。
「よっぽどお気に入りのやつやったらな。それ以外は読まんわ」
「じゃあさ、『ユウ』っていう作家知らない?」
大家さんの話だと、書いているのは思いっきりラブストーリーらしい。
むっちゃんが読んでなくてもしょうがないかな、と期待してなかったんだけど……。
「知ってるも何も、大ファンやて!!」
勢いよく立ち上がったむっちゃんは、鼻息荒く力説し出した。
私はお弁当箱が倒れないように押さえたまま、彼女を唖然と見上げる。