大家様は神様か!
「遠慮せんでええって!本当の事言ってみ。ユウ先生の本に興味あるんやろ?」
あるにはあるけど、違うんです。
まさか全て説明するわけにもいかず、慌てて首をふる。
「ないない!第一、私が恋愛小説なんて読むわけないじゃん!」
強く言い切った私の言葉に、むっちゃんがむ、と言葉を切った。
「確かに、ウチが知る限り華火に彼氏がおった記憶はない……」
「事実だけど、改めて言われると何かむかつくね」
「調理実習の一件が知られて以来、そもそもあまり男子に話しかけられてない……」
「『ゲル状のナニカうねうね事件』に関して言えば、ぐうの音も出ないわ」
「むう、なるほど、華火がユウ先生の本に興味がないのはよう分かった。信じたる」
「とても不本意だけど、わかってもらえて嬉しいよ」
――――と、むっちゃんを説得した日の放課後。
私は駅前の本屋に来ていた。