大家様は神様か!

「き、来てしまったよ……」


あれだけ色々言ったのに!

あんなに興味ないふりしたのに!


「いらっしゃいませー」


とは言え、前まで来たのに入らないのは勿体ない、と自分自身に言い聞かせ、冷房の効いた店内に足を踏み入れた。

平日の夕方ということもあって、お客さんはあまりいない。

私と同じように制服の子が何人かと、OL風のお姉さん、それからスーツ姿の人。

静かで落ち着いた空気が漂っていて、入り浸ってしまう人間の気持ちが少しだけわかった気がした。


「えーと……ユウ、だよね」


本屋にはほとんど来ないので、探し方がわからない。

とりあえず端から見ていってみる。

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